失業保険の受給中に扶養に入れるか|健康保険・年金・税の扶養の違い

一次資料との照合日:運営:Forecraft

失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取っている間に家族の扶養に入れるかは、どの「扶養」かで答えが変わります。健康保険の扶養(協会けんぽ)は、基本手当日額が3,611円以下なら収入要件を満たし、3,612円以上の支給が始まると外れる扱いです。税の扶養(配偶者控除・扶養控除)では、失業給付は非課税なので所得に数えません。

3つの「扶養」は別々に判定される

健康保険の被扶養者 国民年金の第3号被保険者 税の扶養(配偶者控除・扶養控除)
何で判定するか これから1年間の見込み収入 年収130万円未満(障害者は180万円未満)の見込みなど その年の合計所得金額
失業給付の扱い 収入に含める 健康保険の扶養の判定に連動(協会けんぽでは同じ届書) 含めない(非課税)
受給中はどうなるか 協会けんぽは日額3,612円以上なら外れる 健康保険の扶養から外れたら第1号へ切り替え 失業給付の分は影響しない

健康保険の扶養:失業給付も収入に数える

収入の基準

協会けんぽ(認定の手続きは日本年金機構)の収入要件は次のとおりです。

扶養に入る人 年間収入の基準
原則 130万円未満
60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人 180万円未満
19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く。令和7年10月1日以降の認定) 150万円未満

あわせて、原則として、同居なら被保険者(家族)の年収の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額より少ないことが必要です。

年間収入は過去の収入ではありません。扶養に入る時点から先の1年間の見込みで判定します。雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も収入に含みます。

失業給付は「日額」で判定する

日本年金機構の案内では、雇用保険の受給者は日額3,611円以下なら収入要件を満たします。基本手当(日額3,612円以上)の支給が始まったら、扶養から外す届出(被扶養者(異動)届の非該当)が必要です。

受け取る総額ではなく日額で見る点に注意してください。たとえば日額4,000円を90日分受け取ると、総額は36万円で130万円に届きません。それでも日額が3,612円以上なので、受給中は扶養に入れません。

60歳以上・障害者(180万円未満)や19歳以上23歳未満(150万円未満)の人について、日本年金機構の案内は日額の基準を別に示していません。該当する人は、家族の勤務先を通じて確認してください。

自分の日額が3,612円以上になるかの目安

基本手当日額は、雇用保険受給資格者証(第1面)の19欄に書かれています。手続き前に見当をつけたい場合は、計算で出せます。

基本手当日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与は除く)の合計を180で割った「賃金日額」に、給付率をかけて出します。令和8年8月1日以降の計算式では、賃金日額が3,203円以上5,480円未満なら給付率は80%です。

この式で逆算すると、賃金日額4,515円で基本手当日額がちょうど3,612円になります。離職前6か月の賃金合計なら812,700円、月平均なら135,450円です。年間収入の基準が130万円未満の人は、月平均の賃金がこれ以上だった場合、受給中は扶養の収入要件を満たさない計算になります。給付率80%が適用される賃金日額の範囲は「毎月勤労統計」の平均定期給与額に応じて改定されますが、4,515円がこの範囲に入っている間は、この境目は変わりません。

離職前の賃金から自分の基本手当日額を出したいときは、失業保険の計算を使ってください。

待期期間・給付制限期間・受給後の扱い

時期 協会けんぽの扶養の扱い
待期期間(受給資格決定日から7日間) 収入要件を満たしていれば扶養に入れる
給付制限期間(正当な理由のない自己都合退職。令和7年4月1日以降の離職は原則1か月) 日本年金機構の案内に記載がない。加入先に確認
基本手当の支給中(日額3,612円以上) 扶養から外す届出が必要
受給が終わった後 収入要件を満たせば、受給資格者証などの写しを付けて扶養に入れる

扶養から外れている間は、国民健康保険か、条件を満たせば任意継続に入ります。任意継続の申出期限は退職日の翌日から20日以内です。基本手当の支給開始で扶養を外れるころには、この期限を過ぎている場合があります。選び方は退職後の健康保険と年金の切り替えで整理しています。給付制限がいつまで続くかは給付制限とはで確認できます。

健康保険組合の場合

ここまでの日額の基準は、協会けんぽ(日本年金機構)の案内です。被扶養者の認定は保険者ごとに行います。健康保険組合では、日額の基準、給付制限期間中の扱い、必要な書類が違う場合があります。家族の勤務先か、加入している健康保険組合に確認してください。

令和8年4月からの「労働契約による判定」との関係

令和8年4月1日から、扶養に入る人の収入が給与だけの場合は、労働条件通知書などの労働契約の内容で年間収入を判定できるようになりました。契約上の賃金(諸手当・賞与を含む)から見込む年収が基準額未満で、ほかの収入が見込まれないことが条件です。給与以外の収入がある場合は、従来どおりの方法で判定します。

健康保険の扶養では失業給付も収入に数えます。そのため、失業給付を受けながらパートで働く場合などは、この労働契約による判定の対象にならないと考えられます。扱いは加入先に確認してください。

国民年金の第3号被保険者も連動する

厚生年金に入っている人に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者は、国民年金の第3号被保険者です。本人は保険料を納めません。協会けんぽでは、健康保険の被扶養者の届書と第3号の届書が一体の様式になっていて、配偶者の勤務先が手続きします。

年収130万円(障害者は180万円)以上が見込まれ、配偶者の健康保険の扶養から外れた場合は、第3号から第1号への変更手続きが必要です。窓口は住所地の市区町村の国民年金担当です。第1号の間は自分で保険料を納めます。

つまり、基本手当の支給開始で健康保険の扶養を外れる人は、年金も第1号への切り替えが必要になります。保険料を払うのが難しいときは、退職による特例免除を申請できる場合があります。退職した人の前年所得をゼロとして審査する仕組みで、離職票や受給資格者証などが必要です。受給が終わって再び扶養に入るときは、第3号の手続きも配偶者の勤務先を通じて行います。

税の扶養:失業給付は所得に数えない

雇用保険法第12条は、失業等給付として受け取ったお金に税金などをかけることを禁じています。国税庁も、基本手当などの求職者給付は、配偶者控除の判定に使う合計所得金額に含めないとしています。

税の扶養は、その年の合計所得金額で判定します。数えるのは退職前に受け取った給与などです。

年分 配偶者控除・扶養控除の合計所得金額 給与収入だけの場合の目安(配偶者控除)
令和8年分(2026年) 62万円以下 136万円以下
令和7年分(2025年) 58万円以下 123万円以下

令和8年分の額は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます。配偶者控除は、控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円以下であることも条件です。配偶者の合計所得金額が62万円を超え133万円以下(令和8年分)なら、配偶者特別控除の対象になります。

健康保険は「これから1年の見込み」、税は「その年の実績」で判定します。この違いから、片方だけ扶養に入れる組み合わせが起こります。

たとえば、2026年6月末に退職した配偶者の1〜6月の給与収入が120万円で、その後は失業給付だけだったとします。

確認先のまとめ

確認したいこと 確認先
健康保険の扶養に入れるか、いつ外れるか 家族の勤務先(協会けんぽは日本年金機構が認定。健康保険組合は組合)
第3号から第1号への切り替え 住所地の市区町村の国民年金窓口
自分の基本手当日額 雇用保険受給資格者証、ハローワーク
配偶者控除・扶養控除 家族の勤務先の年末調整、税務署

扶養の認定は、世帯の収入や加入している健康保険によって結果が変わります。ここで説明したのは一般的な基準です。最終的な判断は、家族の勤務先や加入先の健康保険、市区町村、税務署で確認してください。

失業保険(基本手当)の計算
賃金と年齢・離職理由から、1日あたりの額・もらえる日数・総額・振込の目安日まで。
計算する

記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。