給付制限とは|自己都合は原則1か月、3か月になる場合と教育訓練での解除

一次資料との照合日:運営:Forecraft

給付制限は、正当な理由のない自己都合退職や重責解雇で離職したときに、待期7日間のあと、さらに基本手当(失業保険)が支給されない期間です。離職日が2025年4月1日以降なら、自己都合退職の給付制限は原則1か月です。離職日からさかのぼって5年間に正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格決定を受けている場合と、重責解雇の場合は3か月になります。自己都合退職の場合は、対象の教育訓練を受けると給付制限が解除されます。

給付制限がかかるのは2つのケース

離職理由による給付制限(雇用保険法第33条)の対象は、次の2つです。期間は、待期が終わったあとの1か月以上3か月以内で、公共職業安定所長が定めます。

倒産・解雇などの会社都合で離職した人には、給付制限はかかりません。自己都合でも、病気やけが、妊娠・出産・育児(受給期間の延長を受けた場合)、家族の看護、通勤が難しくなったなどの正当な理由がある場合(特定理由離職者)は対象外です。正当な理由にあたるかどうかは、厚生労働大臣が定める基準に沿ってハローワークが判断します。離職理由の区分については自己都合と会社都合の違いで整理しています。

65歳以上で離職した人が受け取る高年齢求職者給付金にも、同じ給付制限があります。

給付制限の期間

離職の理由 給付制限
正当な理由のない自己都合退職(離職日が2025年4月1日以降) 原則1か月
正当な理由のない自己都合退職(離職日が2025年3月31日以前) 原則2か月
上のうち、離職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格決定を受けている 3か月
重責解雇 3か月
会社都合、正当な理由のある自己都合 なし

原則1か月のルールは、離職日が2025年4月1日以降の人に適用されます。どちらのルールになるかは、手続きをした日ではなく離職日で決まります。

「5年間に2回以上」の数え方

数えるのは、離職日からさかのぼって5年間のうち、「正当な理由のない自己都合退職」で「受給資格決定を受けた」回数です。2回以上あれば、今回の給付制限は3か月です。言い換えると、5年間のうち2回までは原則1か月、3回目から3か月になります。

過去5年間の回数(今回を除く) 今回の給付制限(離職日が2025年4月1日以降)
0回 原則1か月
1回 原則1か月
2回以上 3か月

自分の回数がはっきりしない場合は、手続きの際にハローワークで確認してください。

待期7日との違い

待期と給付制限は別の仕組みです。待期は離職理由に関係なく全員にあり、給付制限は対象の人だけに、待期のあとに続きます。

待期 給付制限
対象 全員(会社都合も含む) 正当な理由のない自己都合退職、重責解雇
長さ 失業している日が通算7日 1〜3か月
始まり 受給資格決定日(求職の申込みをした日) 待期が終わった日の翌日
期間中に働いた日 7日に数えない(その分、待期が延びる) 支給への影響はない(条件によっては就職扱い)
根拠 雇用保険法第21条 雇用保険法第33条

待期に数えるのは失業している日で、病気やけがで働けない日も含みます。待期中に働いた日は数えません。給付制限は待期が終わった翌日から始まるので、待期が延びると全体の日程も後ろにずれます。

給付制限がある人も、初回の認定日には必ずハローワークへ行きます。この日に支給はなく、待期が終わったことの確認と給付制限期間の設定が行われます。

いつから支給されるか(2026年の例)

沖縄労働局が示している例です。2026年3月31日に正当な理由のない自己都合で退職し、4月13日にハローワークで手続きをした場合、日程は次のようになります。

日付 内容
4月13日〜4月19日 待期(通算7日)
4月20日〜5月19日 給付制限(1か月)
5月11日 初回認定日。支給はなし(待期満了の確認と給付制限の設定)
5月20日〜 支給の対象になる日
6月8日 2回目の認定日。5月20日〜6月7日の分を支給

振込は認定日から1週間以内なので、手続きから最初の入金まではおよそ2か月かかります。同じ日程で会社都合の場合は、4月20日から支給の対象になり、初回認定日の5月11日に21日分が支給されます。

離職日と手続き日を入れると、失業保険の計算で待期・給付制限・認定日ごとの支給額の目安を確認できます。実際の認定日は地域や曜日で前後します。全体の手順は失業保険の手続きの流れにまとめています。

教育訓練を受けると給付制限が解除される

「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第26号)のうち2025年4月1日に施行された改正で、正当な理由のない自己都合退職の人が対象の教育訓練を受けた(受けている)場合、給付制限が解除されるようになりました。5年間に2回以上で3か月になる人も含まれます。重責解雇の人は対象外です。

これとは別に、ハローワークの所長の指示で公共職業訓練等を受ける場合も、受講を始めた日以降は給付制限がかかりません(雇用保険法第33条第1項ただし書)。

対象になる訓練

2025年4月1日以降に受講を始めた、次のいずれかの訓練です。

  1. 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
  2. 公共職業訓練等
  3. 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
  4. 1〜3に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練

1は、厚生労働大臣が指定した講座(専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練)です。指定講座かどうかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます。

受講の時期と解除される範囲

受講の時期 解除の範囲
離職日前1年以内に受けた(途中で退校した場合は対象外) 待期が終わった翌日から給付制限なし
離職日以後に受けている 受講開始日から給付制限なし

離職後に受講を始めた場合、待期が終わってから受講開始日の前日までは給付制限のままです。

申し出の期限と必要書類

解除を受けるには、ハローワークへの申し出が必要です。受講を始めたあと、受給資格決定日または初回認定日までに申し出ます。初回認定日以降に受講を始めた場合は、受講開始日の直後の認定日が期限です。

給付制限が2か月以上の人は、初回認定日のあと給付制限中に受講を始める場合の期限に注意してください。この間は本来認定日がありませんが、受講開始直後の、自分の認定日と同じ週型・曜日にあたる日(認定日の相当日)までに申し出て失業の認定を受ければ、受講開始日から支給の対象になります。この日を過ぎて申し出ると、受講開始日以降でも受け取れない期間が出ます。

必要書類は次のとおりです。

状況 書類
受給資格決定のあとに受講を始める、または決定時に受講中 訓練開始日が書かれた領収書、または訓練実施施設による訓練開始日の証明書
受給資格決定日の前に修了している 訓練修了日が書かれた修了証明書、または訓練実施施設による修了日の証明書

教育訓練給付金の申請でこれらをすでに出している場合は、その旨を伝えます。解除されて支給を受けるときも、通常の失業の認定と同じく求職活動の実績が必要です。

再就職手当を受ける場合、給付制限が解除されていても、待期が終わってから1か月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職であることが条件です。金額の目安は再就職手当の計算で確認できます。

給付制限中のアルバイト

給付制限期間中にアルバイトやパートをしても、基本手当の支給には影響しません。ただし、次の点に注意が必要です。

申告せずに基本手当を受け取ると不正受給になります。以降の支給が止まるうえ、不正に受け取った額の3倍の額の納付を命じられる場合があります。

給付制限が明けて支給の対象になった後に働いた日は、その日の分が支給されなかったり、収入に応じて減額されたりすることがあります。

手続きの前に確認すること

ここに書いたのは一般的なルールです。正当な理由の有無や教育訓練の扱いは個別にハローワークが判断するため、迷う点は手続きの際に窓口で確認してください。

失業保険(基本手当)の計算
賃金と年齢・離職理由から、1日あたりの額・もらえる日数・総額・振込の目安日まで。
計算する

記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。