離職票の見方と賃金日額の出し方|賃金支払状況等の欄と離職理由欄

一次資料との照合日:運営:Forecraft

失業保険(雇用保険の基本手当)の金額は、離職票-2の「離職の日以前の賃金支払状況等」の欄で決まります。賃金締切日で区切った満1か月の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6か月分の賃金(賞与は除く)を合計し、180で割った額が「賃金日額」です。もう一つ必ず見るのが離職理由欄で、ここは給付日数と給付制限の有無に影響することがあります。

離職票-1と離職票-2の役割

離職票は、会社がハローワークに資格喪失届と離職証明書を出したあと、ハローワークが発行し、会社を通じて本人に届きます。会社は離職日の翌々日から10日以内に届け出ることになっています。それを過ぎても届かないときは、まず会社に処理状況を確認します。会社が手続きをしない場合は、身元確認書類と退職がわかる書類(退職証明書など)を持って、住所地のハローワークに相談します。

書類 主に書かれていること 本人がすること
離職票-1(資格喪失確認通知書) 被保険者番号、資格取得年月日、離職年月日、喪失原因(1 離職以外の理由/2 3以外の離職/3 事業主の都合による離職)。下部に「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」 振込先の金融機関を記入します。個人番号欄は、ハローワークの窓口で本人が記入します
離職票-2 離職の日以前の賃金支払状況等(⑧〜⑭欄)、離職理由(⑦欄)、離職者本人の判断(⑯欄) 賃金と離職理由を確認し、⑦欄の離職者記入欄と⑰欄を記入します

2025年1月20日からは、離職票をマイナポータルで直接受け取る仕組みもあります。会社が電子申請で離職手続きをすること、本人がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定をしていることなどが条件です。

離職票-2の注意書きには、受給しない場合でも少なくとも4年間は保存するよう書かれています。

賃金支払状況等の欄の読み方

欄 名称 内容
⑧ 被保険者期間算定対象期間 離職日の翌日を起点に、1か月ずつさかのぼった期間
⑨ ⑧の期間における賃金支払基礎日数 ⑧の期間で、賃金の支払い対象になった日数
⑩ 賃金支払対象期間 賃金締切日の翌日から次の締切日までの期間
⑪ ⑩の基礎日数 ⑩の期間の賃金支払基礎日数
⑫ 賃金額 Ⓐ欄は月給・週給など期間で決まる賃金、Ⓑ欄は日給・時給・出来高の賃金、「計」は合計
⑬ 備考 休業、賃金未払い、締切日の変更、基礎日数10日以下の期間の労働時間数など
⑭ 賃金に関する特記事項 3か月以内の期間ごとに支払われる「特別の賃金」の支給日・名称・金額

⑧⑨は受給資格、⑩〜⑫は金額に使う

左側の⑧⑨は「受給できるか」の判定に使います。離職日を基準に1か月ずつ区切り、賃金支払基礎日数が11日以上ある期間を被保険者期間1か月と数えます。11日以上の期間が足りない場合は、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある期間も数えます(その時間数は⑬欄に書かれます)。原則は離職前2年間に12か月以上が必要です。倒産・解雇などの特定受給資格者と特定理由離職者は、離職前1年間に6か月以上でも受給資格を得られます。

右側の⑩〜⑫は「いくらか」の計算に使います。こちらは賃金締切日で区切ります。締切日がない会社は月末で区切ります。同じ時期でも⑧と⑩で区切り方が違うのはこのためです。

賃金支払基礎日数の数え方

給与の形 ⑨⑪欄に入る日数
月給で、欠勤しても減額されない その期間の暦日数(30日、31日など)
月給で、欠勤すると減額される 給与計算上の1か月の日数から欠勤日数を引いた日数
日給・時給 出勤日、有給休暇の日、会社都合の休業日(休業手当が出た日)の合計。短時間でも出勤した日は1日

⑫の賃金額に入るもの・入らないもの

⑫欄には、その期間に働いた分の賃金が、保険料などを差し引く前の額で書かれます。

入る 入らない
基本給、残業手当、通勤手当、住宅手当、有給休暇の日の賃金、休業手当 年2回の賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、結婚祝金や災害見舞金などの臨時の支給、退職金、解雇予告手当

賞与を含めない理由

雇用保険法17条は、賃金日額の計算から「臨時に支払われる賃金」と「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除いています。同じ性格の支給が年3回以内ならこれに当たるため、夏と冬の賞与は計算に入りません。反対に、同じ性格の支給が年4回以上あるものは「特別の賃金」として計算に入り、⑭欄に書かれます。

賃金日額の出し方

  1. ⑩の期間が満1か月あり、⑪の基礎日数が11日以上の行(完全な賃金月)を探します。
  2. 離職日に近いほうから6行を選びます。離職日を含む端数の期間(例:9月21日〜離職日)は満1か月でないので入りません。
  3. 6行の⑫「計」を合計します。
  4. 合計を180で割り、1円未満を切り捨てます。これが賃金日額です。
  5. 上限と下限を当てます。2026年8月1日からの額は次のとおりです。上限・下限は「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減に応じて、8月1日に変更されます。
離職時の年齢 賃金日額の下限 賃金日額の上限
29歳以下 3,203円 14,900円
30〜44歳 3,203円 16,540円
45〜59歳 3,203円 18,220円
60〜64歳 3,203円 17,400円

計算例(月給、賃金締切日20日、9月30日に離職)

⑩賃金支払対象期間 ⑪基礎日数 ⑫賃金額(計) 計算に使うか
9月21日〜離職日 10日 80,000円 使わない(満1か月でない)
8月21日〜9月20日 31日 265,000円 使う
7月21日〜8月20日 31日 250,000円 使う
6月21日〜7月20日 30日 260,000円 使う
5月21日〜6月20日 31日 255,000円 使う
4月21日〜5月20日 30日 250,000円 使う
3月21日〜4月20日 31日 250,000円 使う

合計1,530,000円 ÷ 180 = 8,500円が賃金日額です。離職時に35歳なら、給付率が80%から50%へ下がっていく区間の式を使い、基本手当日額は5,838円になります。月ごとの金額を入れれば、失業保険の計算で同じ計算ができます。

受給資格の決定後、雇用保険受給者初回説明会で「雇用保険受給資格者証」が渡されます。ハローワークが決めた賃金日額は、その第1面の14欄で確認できます。

完全な賃金月が6つに満たない場合

入社して間もないなどで完全な賃金月が5つ以下のときは、次の順で、それぞれ新しい月から加えていき、180日分(1か月を30日と数える)に達するまでの賃金で計算します。

  1. 完全な賃金月
  2. 満1か月で、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上の月(2020年8月1日以降の離職)
  3. 基礎日数がその期間の日数の30分の11以上ある月
  4. それ以外の月

扱いが細かいので、正確な額はハローワークで確認してください。

日給・時給の人の最低保障

日給・時給・出来高で賃金が決まっている人は、働いた日数が少ないと「÷180」の結果が低くなります。そのため雇用保険法17条2項で、次の最低保障額と比べて高いほうを賃金日額にします。

例として、日給1万円、1日8時間・週4日勤務で、6か月の労働日数が104日、賃金の合計が1,040,000円の場合です。

計算方法 式 金額
原則 1,040,000円 ÷ 180 5,777円
最低保障 1,040,000円 ÷ 104日 × 70% 7,000円

高いほうの7,000円が賃金日額になります。

ただし、離職日に短時間労働者(週の所定労働時間が同じ職場の通常の労働者より短く、かつ30時間未満)だった人は、日給・時給でもこの最低保障は使いません。原則どおり÷180で計算します。

当サイトの計算ツールは÷180で計算します。最低保障が当てはまる場合は、「6か月の合計」に最低保障額×180(この例では1,260,000円)を入れると目安が出ます。

離職理由欄(⑦欄)の確認

⑦欄には「離職理由は所定給付日数・給付制限の有無に影響を与える場合がある」と注意書きがあります。正当な理由のない自己都合退職には給付制限(2025年4月1日以降の離職は原則1か月)がかかり、倒産・解雇などの特定受給資格者は給付日数が手厚くなる場合があります。違いは自己都合と会社都合の違いで整理しています。

⑦欄は、次の分類から主な理由を1つ選ぶ形です。

番号 分類
1 事業所の倒産等によるもの
2 定年によるもの
3 労働契約期間満了等によるもの
4 事業主からの働きかけによるもの(解雇、重責解雇、希望退職の募集・退職勧奨)
5 労働者の判断によるもの(職場の事情による離職、個人的な事情による離職)
6 その他(1〜5のいずれにも当たらない場合)

確認と記入の手順

  1. 在職中に、会社がハローワークに出す離職証明書で離職理由を確認します。事業主が○を付けた理由に異議が「有り」か「無し」かを、離職日までに⑯欄で○をします。
  2. 離職票-2が届いたら、⑦欄の「事業主記入欄」の○と、下の「具体的事情記載欄(事業主用)」を読みます。
  3. 異議がなければ、「離職者記入欄」で同じ理由に○を付け、「具体的事情記載欄(離職者用)」に「同上」と書きます。
  4. 異議があれば、自分が主張する理由に○を付け、具体的な事情を書きます。退職勧奨の通知書、労働契約書、給与明細、タイムカードの写しなど、主張を確かめられる資料があれば手続きのときに持参します。
  5. ⑰欄に氏名を書きます。

⑦欄の分類は、離職理由を把握するための便宜上のもので、特定受給資格者などの判断基準とは別です。最終的な離職理由は、ハローワークが本人と事業主の主張、証拠書類を確認して決めます。その判定に不服があるときは、都道府県労働局の雇用保険審査官に審査請求ができます。期限は原則3か月以内ですが、起算日は処分の内容で異なるため、ハローワークで確認してください。

記載の誤りに気づいたとき

受給手続き全体の順番は失業保険の手続きの流れにまとめています。

失業保険(基本手当)の計算
賃金と年齢・離職理由から、1日あたりの額・もらえる日数・総額・振込の目安日まで。
計算する

記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。