2026年8月改定:失業保険・再就職手当・育休手当の上限額と下限額
2026年(令和8年)8月1日から、失業保険(雇用保険の基本手当)の1日あたりの上限額は、離職時の年齢に応じて7,450円〜9,110円に、下限額は2,562円に上がりました。同じ日に、再就職手当の計算に使う日額の上限と、育児休業給付金の支給上限額も引き上げられています。失業保険をすでに受け取っている人も、8月1日以降の日の分から新しい基準で計算されます。
毎年8月1日に見直される仕組み
上限額・下限額は、雇用保険法第18条にもとづいて毎年8月1日に見直されます。基準は、厚生労働省の「毎月勤労統計」の平均定期給与額から出す年度の平均給与額です。平均給与額が上がればその比率に応じて引き上げ、下がれば引き下げになります。
今回は、令和6年度の平均361,525円に対して令和7年度は371,444円で、約2.7%の上昇でした。
下限額には別のルールもあります。平均給与額で計算した額が「最低賃金日額」(地域別最低賃金の全国加重平均額をもとにした額)を下回るときは、最低賃金日額が下限になります(同条第3項)。今回の基本手当日額の下限2,562円は、令和8年4月1日時点の全国加重平均額1,121円を使い、1,121円×20÷7×0.8で計算されています。
今回の額は2027年(令和9年)7月31日まで使われ、次は2027年8月1日に見直される予定です。
基本手当日額の上限額・下限額(新旧比較)
年齢の区分は、離職日時点の年齢で決まります。雇用保険では誕生日の前日に1歳上がる扱いなので、たとえば45歳の誕生日の前日に離職した人は45歳の区分になります。受給中に誕生日を迎えても区分は変わりません。
上限額
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限(変更前→変更後) | 基本手当日額の上限(変更前→変更後) |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,510円→14,900円 | 7,255円→7,450円(+195円) |
| 30〜44歳 | 16,110円→16,540円 | 8,055円→8,270円(+215円) |
| 45〜59歳 | 17,740円→18,220円 | 8,870円→9,110円(+240円) |
| 60〜64歳 | 16,940円→17,400円 | 7,623円→7,830円(+207円) |
下限額(全年齢共通)
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 賃金日額の下限 | 3,014円 | 3,203円 |
| 基本手当日額の下限 | 2,411円 | 2,562円(+151円) |
65歳以上で離職して高年齢求職者給付金を受ける場合も、29歳以下の表で計算します。
給付率が切り替わる賃金日額
基本手当日額は、賃金日額(原則として、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った額。賞与などは含みません)に、50〜80%(60〜64歳は45〜80%)の給付率をかけて出します。賃金が低いほど給付率は高くなります。今回は、給付率が切り替わる区切りの額も上がりました。
| 区切り | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 給付率が80%から下がり始める賃金日額 | 5,340円 | 5,480円 |
| 給付率が50%になる賃金日額(59歳以下) | 13,140円 | 13,490円 |
| 給付率が45%になる賃金日額(60〜64歳) | 11,800円 | 12,120円 |
厚生労働省が示す例では、60歳未満で賃金日額6,000円の人は基本手当日額が4,647円から4,683円に、9,000円の人は5,933円から6,013円に上がります。自分の額は失業保険の計算で確かめられます。当サイトのツールは2026年8月1日からの額で計算しています。
すでに受給中の人への影響
新しい基準が使われるのは、8月1日以降の日の分です。厚生労働省のリーフレットには、29歳で賃金日額17,000円の人は、8月1日以降分の基本手当日額が上限の7,450円になるという例が載っています。
対象になる人には、8月1日以降の認定日に返される雇用保険受給資格者証に、新しい基本手当日額が印字されます。基本手当日額は第1面の19欄、賃金日額は14欄に書かれています。
全員の日額が上がるわけではありません。上限額・下限額と給付率の区切りの変化から整理すると、59歳以下では次のとおりです。
| 賃金日額 | 8月1日以降の基本手当日額 |
|---|---|
| 3,203円未満 | 下限の2,562円になり、上がる |
| 3,203円以上5,340円以下 | 変わらない(新旧とも給付率80%) |
| 5,340円超13,490円未満 | 上がる |
| 13,490円以上、変更前の上限額以下 | 変わらない(新旧とも給付率50%) |
| 変更前の上限額超 | 上がる |
60〜64歳は、表の13,490円を12,120円に、給付率50%を45%に読み替えてください。区切りのすぐ近くでは、1円未満の切り捨てのため差が出ないこともあります。1回の認定期間が7月と8月にまたがる場合の内訳などは、受給資格者証の記載と管轄のハローワークで確認してください。
内職などで収入があった場合の控除額
受給中に内職や手伝いで収入を得ると、基本手当が減額されることがあります。その計算で1日分の収入から差し引く控除額も、8月1日以後は1,391円から1,429円に上がりました。
再就職手当などの上限額
再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当は、計算に使う基本手当日額に別の上限があります。こちらも8月1日から変わりました。
| 離職時の年齢 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 59歳以下 | 6,570円 | 6,745円(+175円) |
| 60〜64歳 | 5,310円 | 5,454円(+144円) |
基本手当日額がこの額を超える人は、上限額で計算されます。たとえば基本手当日額が8,270円の35歳の人でも、再就職手当は6,745円をもとに計算します。この上限額は2027年7月31日まで使われます。
就職日が8月1日の前後にあたる場合に、どちらの上限額が使われるかはハローワークで確認してください。支給残日数と給付率の関係は再就職手当のしくみで説明しています。
育児休業給付の上限額
育児休業給付も、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、8月1日に支給上限額が変わりました。休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円です(2027年7月31日までの額)。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金月額の上限 | 483,300円 | 496,200円 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 90,420円 | 96,090円 |
| 育児休業給付金の上限(67%・30日) | 323,811円 | 332,454円 |
| 育児休業給付金の上限(50%・30日) | 241,650円 | 248,100円 |
| 出生時育児休業給付金の上限(67%・28日) | 302,223円 | 310,290円 |
| 出生後休業支援給付金の上限(13%・28日) | 58,640円 | 60,205円 |
| 育児時短就業給付金の支給限度額 | 471,393円 | 484,121円 |
育児時短就業給付金は、8月1日以後の支給対象期間から新しい額になります。休業中に会社から賃金が支払われない場合の支給下限額(変更後)は、育児休業給付金が30日で64,380円(67%)・48,045円(50%)、出生後休業支援給付金が28日で11,658円です。
休業開始時賃金月額が変更前の上限(483,300円)以下で、変更後の下限(96,090円)以上の人は、この改定で給付額は変わりません。すでに受給中の人について、どの支給単位期間から新しい上限が使われるかはハローワークで確認してください。育休中の給付の全体像は育休手当のしくみ、金額の試算は育休手当の計算で確認できます。
そのほかに変わった額
| 給付 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 高年齢雇用継続給付の支給限度額 | 386,922円 | 397,369円 |
| 介護休業給付金の支給上限額 | 356,574円 | 366,222円 |
高年齢雇用継続給付は、8月1日以後の支給対象期間から新しい額になります。支給対象月の賃金がこの支給限度額以上のときは支給されません。
記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。