育休手当(育児休業給付金)の条件と仕組み|13%上乗せの要件・手取り10割相当・申請の流れ
育児休業給付金の額は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」です。休業開始から181日目以降は50%になります。休業前の賃金が月30万円(日額1万円)なら、1か月(30日)あたり67%の期間は201,000円、50%の期間は150,000円です。
2026年8月1日からは、1か月あたりの支給上限額が332,454円(67%)と248,100円(50%)に変わりました。自分の賃金と休業期間で試算するときは育休手当の計算を使ってください。
育児休業給付金の計算式
厚生労働省の手引きでは、次の式で計算します。
- 支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(育児休業開始から181日目以降は50%)
休業開始時賃金日額
休業開始前6か月間に支払われた賃金の総額を180で割った額です。
- 基準は、同じ子について最初に取った出生時育児休業または育児休業の開始前です。
- 母親が産前産後休業を取った場合は、原則として産前産後休業の開始前が基準になります。
- 数えるのは、賃金の支払基礎日数が11日以上ある月です。休業開始前2年間にそうした月が6か月に満たない場合は、賃金の支払いの基礎になった時間数が80時間以上の月も数えます。
- 賞与など3か月を超える期間ごとに払われる賃金と、臨時の賃金は含めません。
支給単位期間と支給日数
給付は「支給単位期間」ごとに計算します。育児休業を始めた日から1か月ごとに区切った期間です。
- 例:4月15日に休業を始めた場合、4月15日〜5月14日、5月15日〜6月14日……と区切ります。
- 1か月まるごと休んだ期間の支給日数は30日です。
- 休業終了日を含む期間は、終了日までの実際の日数です。
- 育児休業を2回に分けて取る場合は、それぞれの休業ごとに区切ります。
67%と50%の切り替え
67%で支給されるのは通算180日までです。出生時育児休業給付金(産後パパ育休)を受けた日数も、この180日に含めます。たとえば産後パパ育休で28日受けた場合、育児休業給付金が67%になるのは残りの152日です。
計算例(月30万円・日額10,000円の場合)
| 期間 | 計算 | 1か月の支給額 |
|---|---|---|
| 180日目まで(30日) | 10,000円 × 30日 × 67% | 201,000円 |
| 181日目以降(30日) | 10,000円 × 30日 × 50% | 150,000円 |
上限額と下限額(2026年8月1日から)
休業開始時賃金日額には上限と下限があります。2026年8月1日からは上限16,540円、下限3,203円です。この額は2027年7月31日までの額として示されています。
| 項目 | 2026年7月31日まで | 2026年8月1日から |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金月額の上限 | 483,300円 | 496,200円 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 90,420円 | 96,090円 |
| 育児休業給付金の上限(67%・30日) | 323,811円 | 332,454円 |
| 育児休業給付金の上限(50%・30日) | 241,650円 | 248,100円 |
| 出生時育児休業給付金の上限(28日) | 302,223円 | 310,290円 |
| 出生後休業支援給付金の上限(28日) | 58,640円 | 60,205円 |
- 休業前の賃金が月496,200円(日額16,540円)を超える人は、給付額が上限で頭打ちになります。
- 下限は、30日で67%の期間が64,380円、50%の期間が48,045円です。休業中に賃金が支払われない場合の額で、賃金が出ると下回ることがあります。
- 限度額は毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに見直されます。厚生労働省は、すでに受給中の人も給付額が変わる場合があると案内しています。
この改定全体の整理は2026年8月の改定まとめにあります。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
子の出生後8週間の期間内に、合計28日(4週間)までの産後パパ育休を取ったときの給付です。2回まで分けて取れます。
- 支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業日数(28日が上限)× 67%
- 日額10,000円で14日休んだ場合:10,000円 × 14日 × 67% = 93,800円
- 上限額は2026年8月1日から310,290円(28日分)です。
- 休業中の就業は、28日休む場合で最大10日(10日を超える場合は80時間)までです。休業が短いと、日数に比例して短くなります。
- 申請は、子の出生日(出産予定日より前に生まれた場合は予定日)から8週間を経過する日の翌日からできます。28日取り終えた場合や2回目の休業を終えた場合は、その翌日からです。期限は、申請できるようになった日から2か月を経過する日が属する月の末日です。2回に分けて取っても、申請は1回にまとめます。
2026年8月1日以降に始める産後パパ育休からは、申請時に申告する賃金が「休業期間を対象として支払われた賃金」から「休業期間中に支払日のある賃金」に変わりました。申請を早く出せるようにするための見直しです。
出生後休業支援給付金(13%の上乗せ)
2025年4月1日に始まった給付金です。出生時育児休業給付金か育児休業給付金を受ける人が、要件を満たすと上乗せで受け取れます。
- 支給額 = 休業開始時賃金日額 × 対象期間内の休業日数(28日が上限)× 13%
- 上限額は60,205円、下限額は11,658円です(いずれも28日分)。
要件
次の2つを両方満たす必要があります。
- 本人が、同じ子について、対象期間内に給付金が出る休業(産後パパ育休・育児休業)を通算14日以上取ること
- 配偶者も、子の出生日・予定日の早い日から、遅い日から数えて8週間を経過する日の翌日までの間に、通算14日以上の育児休業を取ること。または、子の出生日の翌日の時点で「配偶者の育児休業を要件としない場合」に当たること
対象期間は立場で変わります。
| 本人 | 対象期間 |
|---|---|
| 産後休業をしていない(父親、または養子の場合) | 子の出生日・予定日の早い日から、遅い日から数えて8週間を経過する日の翌日まで |
| 産後休業をした母親 | 子の出生日・予定日の早い日から、遅い日から数えて16週間を経過する日の翌日まで |
配偶者の育休がなくても対象になる場合
子の出生日の翌日に次のどれかに当たれば、配偶者が育休を取っていなくても2の要件を満たします。
- 配偶者がいない(行方不明は条件付き)
- 配偶者と子に法律上の親子関係がない
- 配偶者から暴力を受けて別居中
- 配偶者が無業者
- 配偶者が自営業者やフリーランスなど、雇われて働く人ではない
- 配偶者が産後休業中
- その他の理由で、配偶者が給付金の対象となる育休を取れない(申告書と確認書類が必要)
父親が申請する場合(養子でない場合)は、母親が出生日の翌日に産後休業中などに当たるため、実質的に本人の14日以上の休業だけで要件を満たします。母親が申請する場合は、父親が2の期間内に通算14日以上の育休を取るか、上の例外に当たる必要があります。
2026年8月1日からは、母親が申請するときも、配偶者の確認書類として母子健康手帳の写し(出生届出済証明のページで、配偶者の氏名・生年月日が載ったもの)を出せるようになりました。
計算例(父親が産後パパ育休を28日取る場合)
日額10,000円の場合です。
| 給付 | 計算 | 支給額 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金 | 10,000円 × 28日 × 67% | 187,600円 |
| 出生後休業支援給付金 | 10,000円 × 28日 × 13% | 36,400円 |
| 合計 | 休業開始時賃金日額×28日の80% | 224,000円 |
「手取り10割相当」の仕組み
67%と13%を合わせると80%です。厚生労働省は、これで手取り10割相当になると説明しています。理由は次の3つです。
- 育休中は、申出により健康保険と厚生年金保険の保険料が免除されます。
- 勤務先から給与が出なければ、雇用保険料の負担もありません。
- 育児休業等給付は非課税です。
社会保険料の免除は、事業主が日本年金機構に「育児休業等取得者申出書」を出して受けます。免除されるのは、育休を始めた日の属する月から、育休が終わった日の翌日の属する月の前月までです。2022年10月1日以降に始めた育休では、月末をまたがない短い育休(開始日の月と終了日の翌日の月が同じ)でも、開始日を含む月に14日以上休めば免除になります。賞与の保険料は、2022年10月1日以降に始めた育休では、賞与を払った月の末日を含む連続1か月を超える育休の場合に限り免除されます。免除された期間は、将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。
ただし、次の点に注意してください。
- 13%の上乗せは最大28日分だけです。それ以降は67%(181日目からは50%)に戻ります。
- 賃金日額に上限があるため、休業前の賃金が高い人は10割に届きません。
- 10割相当の基準は休業開始時賃金日額です。賞与は含まれないため、賞与込みの年収で見た手取りとは一致しません。
休業中に働いた・賃金が出た場合
育児休業給付金は、1つの支給単位期間の就業が10日以下(10日を超える場合は80時間以下)であることが条件です。
休業中に勤務先から賃金が出ると、額によって減額されます。
| 支払われた賃金(休業開始時賃金日額×休業日数に対する割合) | 育児休業給付金 | 出生後休業支援給付金 |
|---|---|---|
| 13%以下(181日目以降は30%以下) | 減額なし | 減額なし |
| 13%超〜80%未満(181日目以降は30%超〜80%未満) | 賃金日額×日数×80% − 賃金 | 減額なし |
| 80%以上 | 支給されない | 支給されない |
当サイトの計算ツールは、休業中に賃金が出ない前提で試算します。就業や賃金がある場合は、ハローワークで確認してください。
受け取れる期間と主な要件
- 原則として、子が1歳に達する日の前日(1歳の誕生日の前々日)までです。育児休業は2回まで分けて取れます。
- 父母ともに育休を取る「パパ・ママ育休プラス」を使うと、子が1歳2か月に達する日の前日までの間に最大1年受け取れます。母親は出産日と産後休業期間を、父親は産後パパ育休の期間を、この1年に含めて数えます。
- 保育所に入れないなどの延長事由があれば、1歳6か月または2歳まで延ばせます。2025年4月からは、市区町村への保育利用の申込みに加えて、速やかな職場復帰のために保育所等の利用を希望しているとハローワークが認めること、という要件が加わりました。申込みの時期や通所時間にも条件があるため、延長を考える場合は早めにハローワークで確認してください。
- 休業開始日前2年間に、賃金の支払基礎日数が11日以上(ない場合は80時間以上)の完全月が12か月以上必要です。
- 期間を定めて雇われている人は、子が1歳6か月に達する日までに労働契約の満了が明らかでないことも必要です。
- 産後休業(出生日の翌日から8週間)は育児休業給付金の対象外です。この期間の出産手当金は健康保険の制度なので、加入している健康保険に確認してください。
育児休業給付金を受けた期間は、将来、失業保険(基本手当)の所定給付日数を決める算定基礎期間から除かれます。
申請は原則として勤務先経由
- 申請するのは原則として事業主です。本人が希望すれば本人が直接出すこともできます。
- 提出先は事業所の所在地を管轄するハローワークで、電子申請も使えます。
- 初回の申請期限は、育児休業開始日から4か月を経過する日が属する月の末日です。7月10日に始めた場合は11月30日です。
- 2回目以降は原則2か月に1回です。本人が希望すれば毎月の申請もできます。
- 給付金は、支給決定から約1週間で本人の口座に振り込まれます。
- 産後休業に続けて育休を取る母親の場合、育児休業開始日は出生日から数えて58日目です。
要件の当てはまり方や添付書類は、家庭や勤務の状況で変わります。迷ったら勤務先の担当者か、事業所を管轄するハローワークに確認してください。厚生労働省の育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8時30分〜17時15分)でも問い合わせできます。
記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。