再就職手当の条件と申請|もらえないケース・申請期限・就業促進定着手当
再就職手当は、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給資格が決まったあと、所定給付日数を3分の1以上残して安定した仕事に就いたときに、まとめて支給される手当です。金額は「基本手当日額 × 支給残日数 × 60%または70%」で、2026年8月1日からは計算に使う日額の上限が6,745円(離職時60〜64歳は5,454円)です。申請は就職日の翌日から1か月以内に行います。
支給される条件
次の8つをすべて満たす必要があります。最終的な判断はハローワークが行います。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 待期のあとの就職 | 受給手続きのあとの待期7日間が終わってから就職、または事業を開始していること |
| 2. 支給残日数 | 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること |
| 3. 前の勤務先ではない | 離職前の事業主への再就職でないこと。資本・資金・人事・取引の面で密接な関係がある事業主も対象外 |
| 4. 就職の経路 | 給付制限がある人は、待期満了後の1か月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職であること |
| 5. 勤務の見込み | 1年を超えて勤務することが確実であること |
| 6. 雇用保険への加入 | 原則として雇用保険の被保険者になること |
| 7. 過去3年の受給歴 | 過去3年以内の就職で、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと(事業開始による再就職手当も含む) |
| 8. 内定の時期 | 受給資格決定(求職申込み)の前から内定していた事業主への就職でないこと |
間違えやすいポイント
待期は受給資格決定日を含めた7日間です。この間に働いた日や、失業の認定を受けていない日は待期に数えません。
給付制限がある人の「紹介による就職」という縛りは、待期満了後の1か月間だけです。1か月を過ぎれば、知人の紹介や求人広告への応募で決まった就職も対象になります。2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で離職した場合、給付制限は原則1か月なので、この縛りの期間は給付制限の期間とほぼ重なります。給付制限が3か月の人も、紹介が必要なのは最初の1か月です。教育訓練を受けて給付制限が解除された人にも、この1か月の縛りは残ります。給付制限の決まりは給付制限の解説にまとめています。
自分で事業を始めた場合も対象になり得ます。ただし給付制限がある人は、待期満了後1か月を過ぎてからの開業が対象です。
「1年を超えて勤務することが確実」かどうかは、契約の形で判断されます。派遣で雇用期間が決まっていて更新が見込まれない場合や、1年以下の契約で更新に一定の目標達成が条件として付いている場合(生命保険会社の外務員など)は、この条件を満たしません。有期契約で就職する人は、契約内容をハローワークで確認してください。
金額の計算式
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(1円未満は切り捨て)
支給残日数は、就職日の前日までの失業の認定を受けたあとに残っている日数です。雇用保険受給資格者証の第3面にある「残日数」で確認できます。ただし、就職しなかったとした場合に受給期間の最後の日までに基本手当を受けられる日数のほうが少ないときは、その日数が支給残日数になります(雇用保険法第56条の3)。延長給付の日数は、ここでいう支給残日数に含まれません。
給付率は、支給残日数が所定給付日数のどれだけ残っているかで決まります。
| 所定給付日数 | 70%になる支給残日数 | 60%になる支給残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 60日以上 | 30日以上 |
| 120日 | 80日以上 | 40日以上 |
| 150日 | 100日以上 | 50日以上 |
| 180日 | 120日以上 | 60日以上 |
| 210日 | 140日以上 | 70日以上 |
| 240日 | 160日以上 | 80日以上 |
| 270日 | 180日以上 | 90日以上 |
| 300日 | 200日以上 | 100日以上 |
| 330日 | 220日以上 | 110日以上 |
| 360日 | 240日以上 | 120日以上 |
3分の1に届かない場合、再就職手当は支給されません。
日額の上限(2026年8月1日から)
計算に使う基本手当日額には上限があります。失業保険の日額(受給資格者証の第1面19欄)がこれより高い人も、上限額で計算します。
| 離職時の年齢 | 変更前 | 2026年8月1日〜2027年7月31日 |
|---|---|---|
| 59歳以下 | 6,570円 | 6,745円 |
| 60〜64歳 | 5,310円 | 5,454円 |
たとえば30〜44歳の失業保険の日額上限は8,270円ですが、再就職手当の計算では6,745円が上限になります。この上限額は毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均給与額にもとづいて改定されます。
計算例
例1:所定給付日数90日、基本手当日額5,000円の人が、給付制限1か月の期間中にハローワークの紹介で就職した場合です。基本手当はまだ1日分も受けていないので、支給残日数は90日で給付率は70%です。
5,000円 × 90日 × 70% = 315,000円
例2:離職時35歳、基本手当日額7,200円、所定給付日数120日の人です。日額は上限の6,745円で計算します。
| 就職日の前日時点の支給残日数 | 給付率 | 再就職手当 |
|---|---|---|
| 85日 | 70% | 401,327円 |
| 70日 | 60% | 283,290円 |
120日の3分の2は80日です。支給残日数が80日を下回ると給付率が60%に下がり、この例では約12万円の差になります。就職日から支給残日数を見積もるなら再就職手当の計算を使ってください。70%で受け取れる就職日の期限も日付で表示します。
申請の流れと期限
- 就職が決まったら、就職日の前日までの失業の認定をハローワークで受けます。条件2の支給残日数は、この認定を受けたあとの日数で判定されます。具体的な手続きは「受給資格者のしおり」かハローワークで確認してください。
- 再就職手当支給申請書を、就職日の翌日から1か月以内にハローワークへ提出します。本人のほか、代理人による提出や郵送もできます。
失業の認定や認定日の流れは失業保険の手続きの流れで説明しています。
1か月の期限を過ぎた場合
1か月を過ぎても申請はできます。厚生労働省は、再就職手当は就職日の翌日から2年の時効が完成するまでなら、期限後でも申請できると案内しています。根拠は雇用保険法第74条の時効(行使できる時から2年)です。以前に期限切れを理由に支給されなかった人も、時効の前に改めて申請し、要件を満たしていれば支給されます。
ただし、期限内に申請しないと支給が遅れたり、ほかの給付の返還が必要になったりする場合があるとされています。就職したら早めに出すのが基本です。なお、この扱いは再就職手当などの手当が対象で、基本手当そのものは決められた期限までに手続きをしないと支給されません。
再就職手当を受けたあとに辞めた場合
再就職手当を受けたあとで離職し、失業状態になった場合は、再就職手当に充てた分(就業促進定着手当も受けた場合はその分も)を除いた残りの日数分の基本手当を受けられる可能性があります。受けられるかどうかは状況によるので、まずハローワークに相談してください。
再就職先で12か月(解雇・倒産などによる離職の場合は6か月)以上働いてから離職した場合は、新しく生じた受給資格で基本手当を受けることになります。
就業促進定着手当(再就職後に賃金が下がった場合)
再就職手当を受けた人が同じ会社で6か月以上働き、その6か月の賃金が離職前より低い場合に支給される手当です。
条件
- 再就職手当を受けていること。事業の開始(起業)で再就職手当を受けた場合は対象外です。
- 再就職の日から同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇われていること。6か月たつ前に被保険者の資格を失うと、事業主都合の出向などでも対象外です。
- 再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること。離職前の賃金日額が下限額(3,203円)の人は、下回ることがないため対象になりません。
金額と上限
支給額 =(離職前の賃金日額 - 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 6か月間の賃金の支払基礎日数
- 離職前の賃金日額は、原則として受給資格者証の第1面14欄の額です。2026年8月1日からの上限は、離職時30歳未満14,900円、30〜44歳16,540円、45〜59歳18,220円、60〜64歳17,400円で、下限は3,203円です。
- 再就職後の1日分の額は、月給制なら6か月の賃金合計÷180です。日給・時給制なら「合計÷180」と「合計÷支払基礎日数×70%」の高いほうを使います。
- 賃金は税金や雇用保険料などを引く前の総支給額で、通勤手当なども含みます。賞与など3か月を超える期間ごとに払われる賃金は含みません。就職日が賃金締切日の翌日でない場合は、就職後最初の賃金締切日より後の6か月分で計算します。
- 支払基礎日数は、原則として月給制なら暦日数、日給月給制ならその基礎となる日数、日給・時給制なら労働日数です。
支給額には上限があります。
上限額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 20%
ここでの基本手当日額の上限は、再就職手当と同じ6,745円(60〜64歳5,454円)です。支給残日数は、再就職手当を受ける前の支給残日数を使います。上限が支給残日数の20%になったのは、2025年4月1日以降の再就職からです。2025年3月31日以前に再就職した人は、再就職手当の給付率が70%なら30%、60%なら40%が上限でした。
計算例
離職時35歳、離職前の賃金日額10,000円(基本手当日額6,307円)の人が、所定給付日数90日のうち60日を残して、2026年10月1日に月給制の会社へ就職したとします。賃金締切日は月末で、6か月の賃金合計は144万円です。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 再就職後の1日分の額 | 1,440,000円 ÷ 180 | 8,000円 |
| 計算上の支給額 | (10,000円 − 8,000円)× 182日 | 364,000円 |
| 上限額 | 6,307円 × 60日 × 20% | 75,684円 |
| 実際の支給額 | 低いほう | 75,684円 |
182日は2026年10月から2027年3月までの暦日数です。この例では上限で頭打ちになり、賃金の低下分より大幅に少ない額になります。
申請の期間と書類
- 申請書は、再就職手当の支給決定通知書と一緒にハローワークから郵送されます。
- 申請期間は、再就職した日から6か月たった日の翌日から2か月間です。過ぎた場合も、6か月を超えて雇用された日の翌日から2年の時効までは申請できます。
- 提出先は再就職手当を申請したハローワークで、郵送もできます。
- 必要書類は、申請書、雇用保険受給資格者証、就職日から6か月間の出勤簿の写し、同じ期間の給与明細または賃金台帳の写しです。
最近の制度変更
| 施行日 | 内容 |
|---|---|
| 2025年4月1日 | 正当な理由のない自己都合離職の給付制限が原則2か月から1か月に(離職日で判定) |
| 2025年4月1日 | 就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げ(再就職日で判定) |
| 2025年4月1日 | 安定した職業以外に早く就いたときの「就業手当」を廃止 |
| 2026年8月1日 | 再就職手当などの計算に使う基本手当日額の上限が6,745円(60〜64歳5,454円)に |
条件の当てはまり方は、契約の内容や離職理由で変わります。迷う場合は、就職日より前にハローワークで確認してください。
記事は一般的な制度の説明です。個別の受給可否や金額は、ハローワークなどの窓口で確認してください。